クライアント情報
K.Hさん 女性
主訴:首〜肩・背中にかけてのコリ感・固まった感じ
目的:首〜背中にかけての緊張および硬縮の緩和
病歴:特になし
スポーツ歴:スキーなどが得意

姿勢の評価と分析前額面より見て、両肩内旋位、左肩下方・左骨盤挙上。身体の回旋は癖が強く、頭部右回旋・胸部右回旋・骨盤左回旋が起きている。
矢状面よりみて、頭部前方移動・胸部後方移動・骨盤後傾位となっている。
いわゆる「スウェイバック型」の姿勢の特徴をもっており、このタイプの場合、おおむね脊柱の動きが悪いことが多いように思われる。
ぱっと見た限りでは、歪みの程度も少なく、わりと良好な姿勢を保っていると言えるが、頭部・胸部・骨盤部の回旋がそれぞれ別方向を向いている点なども考えると、身体を捻るなどの「動き」において何かしらの問題があるのではないかとまず考えられる。
またこれは大多数の方がそうなのだが、首〜肩・背中にかけてコリや違和感・硬縮感のある場合、胸郭および胸椎(特に上部胸椎)・上部頚椎が非常に動きが悪いことが考えられる。
実際触診したところ、やはりかなり可動性が悪いと思われた。
ここまでで、おおむねの方針を決めたのだが、まず主訴である「首〜肩・背中のコリ感・硬縮感」を改善する為には、胸郭・上部胸椎・上部頚椎の動きをしっかりつけて、内旋位にある両肩が開いてくるように前後の筋バランスを整え、それに合わせて全身のバランスを調整すればいいのではないかと思われる。
あとは動きの癖であるが、これは実際のコンディショニングの中での動きを見ながらの調整となる。おそらく身体を「捻る」動作において、かなりの癖があると予想される。
股関節の可動性と脊柱の可動性をつけながら、「中心軸」感覚を動きを通して身体に覚えてもらう必要があると思われる。
「胸椎の動きをつける」・「中心軸を保った回旋運動」、この2点を中心にコンディショニングを進めていく予定である。
実施内容と考察2回目のコンディショニングは、「動き」についてより深く分析をおこないながらおこなった。
体幹の回旋に関しては左腰仙部(腰椎と骨盤のつけね)の緊張と右股関節の回旋筋の問題が影響を強く及ぼしているように思える。
股関節は他動的に動かしても痛みなどはなく、ROM(関節可動域)も十分にあるので、おそらくは筋バランスと運動パターンの問題であろうか?
腰仙部に関しては、(腰に痛みはほぼないそうだが)回旋と側屈における腰椎の「カップリングモーション」が左右別々であり、その動きから左腰部の深部筋の緊張が考えられる。
緊張をリセットし、左右同じモーションを引き出す必要があると言える。
股関節は他動での可動域に問題ないが、各肢位における動きをみると、右股関節の内旋を伴う運動パターンにおいて、代償運動が頻繁に起こる為、ここに問題があると思われる。
胸椎に関しては、胸郭の動きを含め、回旋運動はかなり苦手としている。
胸椎と胸郭の動きを引き出した後、中心軸を作るトレーニングと胸郭の動きを引き出す連動パターンをトレーニングに組み込まねばならないといえる。
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3回目のコンディショニングでは、主訴の一番の原因となっているであろう胸椎・胸郭の動きを引き出すことを中心に行った。
主訴である首・肩〜背中の緊張は、この胸椎・胸郭の動きを引き出すだけでもかなり改善は見込まれよう。
もちろん股関節との連動性はつけていかねばならないが、個別箇所へのアプローチで、主訴である痛みや違和感がある程度改善されるならば、とりあえず痛み違和感を緩和する方向でコンディショニングを行なうのも一つの手である。
胸椎は肋骨に囲まれている為、非常に動きにくい部分である。
ここに柔軟性をつけるには、呼吸法により肋骨間の動きを誘導し、胸椎椎間関節(背骨と背骨をつなぐ関節)およびに肋椎関節(肋骨と背骨の関節)に動きをつけるエクササイズが必要となる。
エクササイズを通して動きをみたが、やはり動きは硬く、思うようにできないようであった。(もちろん日常生活において、胸椎・胸郭を動かす運動パターンが身についていないので、動かなくて当然なのだが。)
本来であれば、ポール上にて小さな揺らぎのモビリゼーションを使い、ゆっくりと時間をかけて動きを引き出していくのがベストであるが、モニターの回数の都合もあるため、強制的に動きを引き出すエクササイズを一つ取り入れてみた。
このエクササイズをいれたのは、「背骨と肋骨が動く感覚」を少しでも感じてもらうためなのだが、翌日に少し筋肉痛がおきやすいのがネックである(-_-;)
当店スタッフも同時にそのエクササイズを行なっていたが、翌日少し筋肉痛がきたようである。
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4回目のコンディショニング。
メインはやはり、胸椎・胸郭の動きの誘導である。
基本的なアプローチは3回目と同じであるが、コアの強化・運動の再教育プログラム(コアストレングス)において、少しレベルを進めて行った。
胸椎・胸郭の可動性は、正しい動きをしっかりと意識してエクササイズに取り組めば、それほど時間がかからずに改善していくと思われる。
本人の取り組み次第になるが、一日10分でいいのでセルフコンディショニングを続けていくのがベストであろう。
問題となっていた股関節であるが、プログラムを進めるうちに新たな発見があった。
右股関節に問題が多いと思われていたが、立位プログラムにおいて左股関節の制御が甘いことが分かったのである。重心を左股関節に乗せることを苦手としていたのである。
このパターンは運動選手などによくあるのだが、片足に重心を乗せることを苦手とする為に、無意識にすべての運動パターンを得意な股関節で行うのである。
このために、特殊な運動パターン、代償運動パターンが癖として身体に染み付いてしまうのである。
この場合は、右股関節の運動パターンの再教育と共に、左股関節で重心制御ができるような強化プログラムが必要となる。
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5回目。
プログラム的には4回目とほとんど変わらず、胸椎・胸郭の可動性を出すエクササイズを中心に行なった。
股関節の制御のために、非過重位での股関節運動の後、過重位での股関節運動を新たに取り入れたくらいである。
基本的に、現状でできあがったプログラムを続けると症状は改善し、アライメントの整った身体になるはずである。
最終的に、このクライアントにおける施術ポイントは3つであったと言える。
☆胸椎・胸郭の可動性の改善
☆股関節を含めた回旋動作の再教育
☆中心軸を保つための強化運動
コンディショニングを始めて、ちょうど一ヶ月が経とうとしてるぐらいだが、そろそろある程度の効果が出てくるころである。
アライメントと動作の改善を行なう為、その場での効果というものは、体感覚に優れた人でないと気づけないが、続けることで必ず効果が出てくるものである。
このクライアントにおいては、おそらく症状が改善するのに3ヶ月はかからないであろう。(つまりあと2ヶ月以内)
お店でのコンディショニングは週1のペースであるため、家でのセルフコンディショニングの継続が必要である。
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6・7回目のコンディショニング
方針的には同じである。胸郭の動きを引き出し、コアの安定と回旋動作の再教育を中心に行なった。
とりあえず7回目のコンディショニング開始前の写真を、初回時の写真と比べて見たい。開始前の写真であり、現在ではこの状態が、クライアントにとっての「通常姿勢」になっている。

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元々、前額面(正面や後面から見て)においては、歪みが少なかったが、身体の回旋状態が改善してきた為、肩の高さや骨盤の高さも整ってきたと言える。
矢状面(横から見て)においては、前方に出ていた骨盤がニュートラルに戻り、かなりアライメント(骨格の並び)が整ってきた。肩の内旋位も改善し、自然と胸が張れるようになっている。
まだまだ胸椎・胸郭が硬いため、理想的な脊柱の状態とは言えないが、立ち姿勢をみるかぎりでは、かなりの改善がされたと思われる。
コアコーディネーション(動きの再教育)において、身体の回旋の動きを調整したことで、股関節と骨盤、骨盤と胸部の回旋の歪み(初回時に見られた骨盤の左回旋)がかなり改善してきている。ここもまだ完全とは言えないが、歪みの状態にクライアント本人の「気付き」が起きているので、もうそれほどの時間はかからないであろう。
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身体の中心と各部位の位置関係が、感覚として把握できるようになると、人間には無意識に身体をいい状態に戻そうとする力がある。
私達トレーナーの役割は、その「気付き」を引き出すこと、と言えるのではないだろうか?
日々の積み重ねで自然と歪んでくる身体に対し、常に「良い状態」を思い出させること。
長年かけて歪んできた身体は、一石二鳥には治らない。
マッサージや整体などの他力の療法では、身体は正しい運動プログラムを思い出してはくれない。
身体の位置感覚や、身体を支える為の筋力というのは、実はそんなに獲得が難しいものではない。
一日10分でいいので、正しい運動プログラムを行なえばいいだけである。
難しいのは、「1日10分の運動」を「続ける」ことと「正しい運動パターン」を行なうということ。
がんばる必要はなく、身体の位置感覚を感じながら、ユラユラと小さく動いてもらうだけでいいのである。
「運動パターン」は、コンディショニングを通して、自然と身体が覚えていくものである。
このクライアントにおいても、ほぼ身体の動かし方を自分の力で感知・制御できるようになってきている。
あとは自己流にならないように、定期的に動きのチェックを当スタジオで行なっていけば大丈夫であろう。